
リーガルチェックって必要?メリットと導入方法について解説!

企業がビジネスをする際に、契約書は必須の書類です。契約書の内容は、独特な専門用語も多く、理解をすることが難しく感じることもあります。契約書の内容は、さまざまな法律に関連する上、自社が不利になるような文言やコンプライアンス問題になる文言が含まれるケースもあるため、注意をする必要があります。
そのようなことから重要視されているのが、リーガルチェックです。この記事では、リーガルチェックが必要な理由やメリット、導入方法について解説します。
リーガルチェックとは
リーガルチェックとは、契約書を法律上問題がないかチェックすることです。ビジネス上では問題がないように思われる内容の契約書でも、文言によっては法的に問題がある場合があります。その結果、自社が不利になるようなケースやコンプライアンス問題に発展するケースも出てきます。
契約書の内容や文言は、専門用語や独特の表現などがあり、法律の専門家でなければ正しく理解できない可能性もあります。そのため、契約締結前に弁護士や社内の法務部門に契約書の検証(リーガルチェック)を依頼します。弁護士や社内の法務部門がリーガルチェックすることで、トラブルを未然に防げます。
リーガルチェックの必要性
リーガルチェックをやらなかった場合、さまざまなトラブルに遭うリスクが上がります。
契約書作成時にリーガルチェックを行わなかったことで、契約書に法令では認められない文言を記載していることに気がつかなかったケースがあります。契約相手がそのことに気がつき、不信感を抱くおそれもありえます。契約を締結したとしても、法律で認められない文言があることで、契約が無効になる可能性も出てきます。
あらかじめ用意されている契約書テンプレートから契約書を作成した場合でも、リーガルチェックは必要です。テンプレートの内容が古く、現行法令と合っていない可能性もありえます。またテンプレートの内容に不備があることも考えられます。
契約相手から受け取った契約書もリーガルチェックが必要です。リーガルチェックを行わなかった場合、自社に不利益になる条件を受け入れてしまうリスクがあります。不利益になる条件で契約締結をしてしまい、自社に大きな損害が出ることもありえます。
リーガルチェックする契約書とは
リーガルチェックする契約書は、次のような契約書です。
1.自社で作成した契約書
リーガルチェックをして自社で作成した契約書に問題がある場合は、関連部署に文言の訂正を提案します。併せて、関連部署からの質問に回答をします。
契約書は多くの企業では、弁護士などの専門家が監修・作成した自社の契約書テンプレートが存在します。そのテンプレートを関連部署が、加筆・修正しているケースが多いでしょう。
テンプレートを加筆・修正しただけの契約書では、法的な問題が隠れているリスクがあります。そのため、法律の専門家である弁護士や社内の法務部門がリーガルチェックをして、契約書のトラブルを防ぐ役割を担います。
2.他社から受け取った契約書
他社から受け取った契約書をリーガルチェックして問題があった際には、相手に疑問点の説明を求めます。ほかに予定する取引の実態が反映されているか、自社に不利な条項・文言の確認、法令違反などの確認をします。
また契約書の文言に加筆を促す提案をすることもあります。
リーガルチェックのメリット
リーガルチェックをするメリットには、どのようなものがあるでしょうか。ここでは、リーガルチェックのメリットを紹介していきます。
正しい契約書を作成できる
契約書の契約条件の間違いや不備、不明確な言い回し、不適切な文言などを見つけ出すことで、契約したい内容に合った正しい契約書を作成できます。
契約書の文言や言い回しによっては、思わぬ法的義務を背負わされるリスクがあります。また望んでいた法的な効果が得られなくなる可能性もあります。
契約書に記載されている内容は、独特な言い回しや文言のため、法律の専門家がリーガルチェックをすることでトラブルを回避できます。
スムーズに取引ができる
当事者の合意があって契約ができたとしても、法律違反の内容であるならば契約は無効になります。
企業のビジネスは、さまざまな法律が関与することで成り立っています。契約のたびに、契約内容に不安や疑問を感じていてはスムーズな取引ができないでしょう。
自社のビジネスに関する法律に詳しかったとしても、法律の改正に気がつかない可能性もあります。従来使っていた契約書の内容が、最新の法律に対応していないケースも考えられます。
ビジネスをスムーズに進めるためにも、法律の専門家によるリーガルチェックが重要になります。
未然にトラブルや損害を回避できる
自社で契約書を作成するときに、自社の利益を求めるあまり、契約相手に不利な条項を記載し過ぎてしまうことがあります。その結果、契約相手から不信感を抱かれてトラブルになる可能性もあります。また、その逆のケースもありえるでしょう。
契約書の内容に不利な条項があることを知らずに契約締結してしまうと、自社に損害が出るかもしれません。
そのようなトラブルや損害を回避するためにも、法律の専門家によるリーガルチェックが必要になります。
リーガルチェックの注意点
リーガルチェックは、弁護士や社内の法務部門が行います。多くの企業では、最初に社内の法務部門がリーガルチェックをします。その結果、判断が難しいケースなどで、外部の弁護士がリーガルチェックを行います。
リーガルチェックをする際には、次のようなことに注意が必要です。
- 契約書の内容に不明確な文言や用語がないか
- 関連法令や判例の確認
- 自社に不利な条項がないか
- 関連する契約書との整合性の確認
- トラブルを想定した内容になっているか
- 取引の内容が自社の目的に沿っているか
- お互いの利益のバランスが適切か
上記について、詳しく説明します。
契約書の内容に不明確な文言や用語がないか
契約書に記載される用語は、さまざまな業界や取引企業内の専門用語が使われます。このような一般的ではない用語が使われた文言が不明確であると、当事者間の合意内容にズレが生じる可能性があります。また契約対象の製品やサービスなどの要素に、相互の認識が異なるリスクも考えられます。
このような認識の違いを放置することで、トラブルに発展するかもしれません。その結果、代金の支払が拒否されたり、製品が引き渡し拒否されてしまったり、最悪の場合は訴訟になることもあります。
関連法令や判例の確認
関連法令や判例もリーガルチェックには重要な要素です。
契約条項に記載されていない事柄があった場合、法令や判例に従います。そのため、取引に関連する法令や判例を理解しなくてはいけません。
また強行規定に反する契約条項があった場合は、修正が必要になります。そのような契約条項を見つけるためにも、リーガルチェックは大切です。
特に相手から受け取った契約書は、入念にリーガルチェックをする必要があります。
自社に不利な条項がないか
契約相手から渡される契約書は、基本的に相手が有利になる条項が多く含まれています。そのため、自社にとって不利な条項がないかリーガルチェックをします。
必要に応じて、条項の修正・削除、取引内容の見直しなどを行います。
また条項に不足や記載漏れがないかも確認します。記載すべき条項がない場合は、必要に応じて加筆をします。
関連する契約書との整合性の確認
関連する契約書と整合性がとれていないと、業務に支障をきたす可能性があります。さらに法令違反になるリスクもありえます。
契約を締結する際には、関連する契約書をすべて理解しておくべきです。
トラブルを想定した内容になっているか
トラブルを未然に防ぐためにも、リーガルチェックは必要です。
損害賠償に関する条項や契約解除に関する条項、機密保持義務に関する内容などは、トラブル回避のためには重視すべき要素です。
またトラブル発生時の対応手順を、契約書に明確に記載する必要もあります。契約内容に応じて、トラブルの回避や対応に関することが十分に想定されているか確認しましょう。
取引の内容が自社の目的に沿っているか
契約書に記載の取引内容が、自社の目的に沿っているかを確認することも大事です。契約書の記載内容が、自社の目的や現状と乖離しているとトラブルの原因になる可能性があります。
お互いの利益のバランスが適切か
契約書に記載されている条項が、一方的に利益を主張していないか、もしくは過大な不利益を与えないか確認をしましょう。相互の利益のバランスがとれていないと、深刻な場合は訴訟に発展することもあります。
お互いが納得した利益を受ける、バランスの良い契約内容が大切です。
リーガルチェック体制を整備するためには
リーガルチェック体制を整備するには、以下のような方法を用います。
自社に法務部門を設置する
自社に法務部門を設置することで、リーガルチェックをローコストで迅速に行えます。また自社の業務内容や取引内容を理解しているため、リーガルチェックがスムーズにできます。
急な対応や修正にも対応できるため、自社に法務部門を設置することはメリットが多いです。自社に法務部門がある企業では、契約書を最初に確認するのは法務部門の業務になっているケースが多くあります。
しかし自社の法務部門が法律の専門家ではない場合では、法令や判例の知識が十分でないこともあります。また自社の法務部門は、自社のメリットを優先するため、第三者的な視点でのリーガルチェックは難しいでしょう。
弁護士に依頼をする
弁護士は法律の専門家であるため、正しく信用性のあるリーガルチェックが期待できます。
弁護士は、さまざまなトラブルに関する対処方法にも詳しいこともメリットです。示談交渉や裁判の手続きや係争に熟知している弁護士であれば、トラブルを未然に防ぐこともできるでしょう。
弁護士がリーガルチェックすることで、トラブルを未然に回避する条項や、トラブル時の対処に関する条項を加えることが可能です。
弁護士への依頼は、費用と時間がかかることが注意点です。
ただし弁護士との良好な関係を築くことで、費用と時間を少し減らせるかもしれません。
契約書管理システムの導入
リーガルチェック体制を整備するためには、契約書管理システムの導入も検討すべきです。契約書管理システムには、リーガルチェックに関する便利な機能が搭載されているものもあります。
まとめ
この記事では、リーガルチェックの必要性やメリット、導入方法について解説しました。リーガルチェックは、契約書を法律上問題がないかチェックするだけでなく、トラブルや損害の回避にもなります。リーガルチェック体制を築くには、自社に法務部門の設置や弁護士への依頼・契約書管理システムの導入などが必要です。
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