
契約書のペーパーレス化がもたらすメリットは?

契約書のペーパーレス化に関する法整備
昨今の世界的なデジタル化の潮流の中で、契約書のペーパーレス化に関しても法整備が進められています。従来は、契約書は基本的に紙に印刷し記名捺印することでしか民事訴訟法上の効力が認められていませんでした。 しかし、電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)が整備され、電子契約書への電子署名やタイムスタンプの付与によっても、書面による契約書と同等の法的効力が保証されるようになりました。保存期間については、紙の契約書と同様に電子契約書も5~10年間の保存が義務付けられています。ただし、その方法や形式は改ざんや消失が起きないよう厳しく規定されており、以下4つの条件を満たさなければなりません。
- 見読性:保存した文書は表示・印刷などにより内容を確認できるようにすること
- 完全性:本人性や非改ざん性を保ち、保存期間中に文書が消失しないこと
- 機密性:文書の漏洩や盗難などを防止する仕組みを備えること
- 検索性:該当の文書を検索し探し出せるようにすること
ただし、2022年1月の電子帳簿保存法の改正により事前承認制度の廃止や検索要件の緩和がされたことで、以前よりも電子保存しやすい環境が整いました。そのため、多くの企業で契約管理システムの導入により業務効率化が進められています。
契約書のペーパーレス化のメリット
契約書のペーパーレス化にはコピー用紙代や郵送代等を節約できることでコスト削減を進められるというのはもちろんのこと、それ以外にも以下のような4つのメリットがあります。
1.柔軟な働き方への対応
紙の契約書に記名捺印をする従来の契約締結方法では、本人の手元に契約書がないと、契約締結が行えませんでした。契約の締結から保管までのペーパーレス化実現により、インターネットにつながる環境さえあれば、どこからでも契約書に係る業務を進められるようになります。契約書に捺印するためだけに社員が出社する必要がなくなり、企業のテレワーク導入を推し進めます。
2.契約締結の迅速化
電子契約では専用のツールで契約書を送信し、双方で電子署名を付与するだけで契約締結が完了します。紙の契約書の郵送や返送などに必要な時間を節約でき、迅速な契約業務が可能です。また、契約管理システムの中には、契約書に記載漏れ等の不備があれば、画面上で警告を出すことが可能なものもあり、間違った手続きの進行を防止することが可能です。
3.コスト管理がしやすい
紙の契約書の場合、収入印紙代や郵送代、契約書の破棄費用など、契約件数により変動するため、契約書にかかるコストの管理が難しく、削減もしづらいという問題がありました。契約管理システムは、導入費用や月額利用料がある程度あらかじめ設定されているため、契約書関係の業務に毎年どの程度のコストが発生するか容易に把握できます。ペーパーレス化すれば、毎月発生するコストを把握でき、費用対効果を得られなければ他のサービスに乗り換えることも可能です。
4.安全性の向上
セキュリティ認証を受けた契約管理システムを導入し、ペーパーレス化に必要なセキュリティ対策を施せば、契約書の紛失や流出などのリスクを抑えられ、ガバナンスの強化にも繋がります。さらに、契約書によっては適宜更新が必要なものもありますが、契約管理システムの機能を活用して、事前に更新のタイミングを知らせてくれるアラートを設定することで、更新を忘れる心配もありません。契約書のペーパーレス化は、紙の契約書管理につきまとう、処理漏れや盗難、火災・災害による消失などのさまざまな不安要素を排除できます。
契約書のペーパーレス化を進めるために
様々な企業で電子契約が推し進められているとはいえ、まだまだ対応しきれていない企業も多くあります。そのため、契約先の企業が電子契約に対応しているか確認しなければなりません。また、社内のオペレーションを変更する必要もあるため、正しいフローで契約を管理できるよう環境整備を進める必要があります。そのため、契約管理システムを導入する際には、規格に適合していることはもちろん、使いやすさやサポート体制も重要な観点となってきます。このような点に留意して、契約書のペーパーレス化を推進ください。