電帳法

電帳法って何?対応が必要な書類は?

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目次

本記事では、改正電帳法を理解する上で重要となる、電帳法の全体概要を解説します。しっかりと理解して、2年間の宥恕措置を経て2024年1月から義務化される改正電帳法に対応しましょう。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法(以下、電帳法)とは、国税関係の帳簿書類を電子データで保存することを認めた法律です。生産性の向上、テレワークの推進、記帳水準の向上などを目的に、今後は電子での取引情報の授受にシフトしていくべきとの趣旨があります。

電帳法は1998年に施行されて以来、数回にわたって改正が行われてきました。例えば、2005年にはスキャナ保存での書類管理が可能に、2016年にはデジカメやスマホで撮影した書類の電子データ化が可能になりました。2022年1月から適用を開始している今回の改正では、これまで紙にプリントアウトして保管することが認められていた国税関係書類の電子データを、オリジナルのまま電子データで保管することが必須になるなど、大きな変更があったとして注目を浴びています。改正電帳法に関しては別の記事で詳しく解説していますので、そちらを御覧ください。


 

企業がより簡単に電子データでの保存を推進できるよう、長期にわたって改正を続けている電帳法では、以下5つのメリットが挙げられます。

 1.業務の効率化

国税関係書類に関して、多くの企業は年度ごとに分けて保管しているかと思います。その場合、たくさんの書類から目当てのものを探すのは労力がかかるでしょう。この書類探しの無駄な時間により、他の業務が滞るため非効率的と言わざるを得ません。電帳法では、検索機能を担保した上で国税関係書類を電子データとして保存することになるため、この無駄な時間が生じることはなく、業務の効率化及び、生産性の向上に繋がります。

 2.柔軟な働き方の実現

一般的に、紙の国税関係書類はオフィスのキャビネット等で保管されると思います。電帳法に則って電子データとしてクラウド上に保管すれば、場所や時間に縛られずに書類の閲覧等が可能になります。例えば、出張先などの出先から書類確認のためだけにオフィスに戻るといった手間をなくすことができ、テレワークを推進している企業にとっては後押しとなる法整備と言えます。

 3. 書類保管場所の省スペース化

オフィスのキャビネット等で書類を保管している場合、そのスペースだけでもかなりの場所を取ってしまうでしょう。日本の法人は取引記録を帳簿に付け、その事業年度の確定申告書の提出期限翌日から7年間保存することが義務付けられています。書類をファイルやバインダーで7年以上も保管するとなると、その書類の数は膨大になりオフィスを専有しかねません。これらすべてを電子データとしてクラウド等に保存することで、管理場所の省スペース化に繋がります。

※赤字経営で繰越欠損金が出た場合は、2008年4月1日以後に修了した欠損金の生じた事業年度については9年間、2018年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度については10年間 

 4.コスト削減

紙での帳簿作成・保管には、用紙やインク、ファイル、バインダーなど、定期的に備品を購入する必要があり、紙で管理をしている以上これらは長期的に調達しなければいけません。長い目で見ると、これらにかかる費用は軽視できませんが、電子データ保存にすることですべて不要になり、コスト削減に繋がります。

  5.環境問題への取り組み

昨今、CSR(企業の社会的責任)やサステナビリティ(持続可能性)への取り組みが企業に求められています。これらの活動は多岐にわたりますが、電帳法に則ることにより中でも代表的な環境保全へ寄与できます。紙での書類管理をやめて電子データに代替することで、ペーパーレス化を促進でき、貴重な紙資源の節約で脱炭素社会の実現にも貢献することができます。

電子帳簿保存法上の区分と対象書類

電帳法では、保存方法を以下の3つに区分しています。

  ①電子帳簿等保存

   会計ソフトなど、パソコンを使って作成したデータの保存

  ②スキャナ保存

   受領した紙の書類、作成した紙の書類のスキャナデータの保存

  ③電子取引データ保存

   メールやクラウドな電子データで授受した取引情報データの保存

①電子帳簿等保存は自己が最初からPC等で作成した帳簿書類を、②スキャナ保存は紙で発行・受領した書類を、③電子取引データ保存はメール等で受領したデータを対象にしています。それぞれの区分に対応する書類は以下の図のとおりであり、電帳法では請求書や領収書に限らず、請求と直接関係する見積書や納品書、契約書等の関係書類も対応が必要になります。①に関してはあらゆる書類が対象であり、②と③に関しては書類種別ではなく受領方法で区分されます。