サインにも証明書ってあるの?サイン証明について解説

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海外では契約締結の際、印鑑ではなくサインによってその契約書の有効性を担保するケースがほとんどです。海外の企業と取引を行う場合、そのサインが本人であることを示すために、印鑑証明と同様にサイン証明が必要となる場合があります。この記事では、サイン証明について、わかりやすく解説します。 


サイン証明とは

サイン証明とは、海外企業との締結において契約書に直筆の署名を行うものです。民事訴訟法228条4項では署名もしくは押印がある場合はサイン証明による契約締結が認められています。 

 

(文書の成立)

第二百二十八条

1 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。 

2 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。 

3 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
 

4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
 

5 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。
 

引用:民事訴訟法 第二百二十八条e-GOV) 

 

契約書などの書類の発行者自身が商工会議所にてサイン証明の申請を行う必要があります。申請を行うことで、海外の企業との契約時に直筆した署名が商工会議所に登録されている署名との一致を証明します。日本に在住する外国人や日本で住民票の登録がない海外在住の日本人は実印が使えないため、署名による証明が一般的です。押印の文化がない国では基本的に署名が求められます。海外で署名を行う場合はサイン証明書を発行しなければなりません。また、金融機関や不動産取引において、サイン証明書の原本を返却してもらえないケースもあります。事前に原本を返してもらえるように相談するといいでしょう。 


サイン証明が必要なシーン 


サイン証明が必要なシーンはおもに5つあります。 

自己証明書・宣誓書を発行する場合 
私文書に署名する場合 
渡航ビザを申請する場合 
翻訳の間違いがないことを宣誓する場合 
商工会議所に登録した署名と一致させる場合 


  1. サイン証明はおもに海外企業との取引や証明書の発行に必要です。国際的な慣習で重要な書類のやりとりにおいて印鑑を持っていない外国人は署名のみで意思表示ができます。署名を行う場合は真正である証拠が必要であるため、サイン証明書の提出が求められます。逆に日本人が海外企業と取引を行う場合も書類に署名を求められます。たとえば、国内の製品の証明書を交付する場合もサイン証明が必要です。 
  2. 契約書や委任状に署名を行った場合に、署名の真正を担保するためにサイン証明が求められます。代表的な契約書類には「価格証明書」「製造証明書」「分析証明書」「計量証明書」「成分証明書」「衛生証明書」があります。簡易な契約であれば提出は求められない場合が多いですが、高額取引を行う場合はサイン証明が必要になるケースがあります。署名は誰にでも書けるため、悪用のリスクを避けるためにサイン証明による本人の真実性が重要になります。ただし、署名した日付が認証日よりも先の日付は認められないので注意が必要です。 
  3. 社内の従業員を海外に赴任させる場合は、渡航ビザを取得してもらう必要があります。渡航ビザの申請には会社推薦状もしくは会社保証書の提出が求められます。会社推薦状と会社保証書が正式な書類であることを証明するためにサイン証明が必要です。
  4.  日本語で記載された書類を外国語に翻訳した場合は、翻訳の間違いがないことを宣誓するためにサイン証明が必要です。具体的には「抹消登録証明書」や「登記事項証明書」が挙げられます。たとえば、海外で会社設立したり、海外企業に就職したりする理由から学歴や国家免許の所持の証明が求められる場合に提出します。また、日本の製品を海外に輸出する際に説明書を翻訳した内容に間違いがあると混乱を招くため、サイン証明にて申請者に宣誓させます。 
  5. サイン証明に直筆した署名が商工会議所に登録した署名と一致することを担保する書類です。海外企業との取引において印鑑証明書と同様の効力を持ちます。ただし、代理人による署名は認められないため、必ず商工会議所に登録した同一の署名にしましょう。 


サイン証明書の取得方法 


日本でサイン証明書を取得する場合は基本的に商工会議所公証役場で発行可能です。商工会議所の場合は署名した書類を提出する必要があります。もし取引の場面などでサイン証明が必要になる場面において登録した署名との一致が確認されると、サイン証明書を取得できます。公証役場で取得する場合は、公証人の面前で署名を行い、認証を受ける必要があります。


また、サイン証明には署名を単独で証明する様式と署名・押印が必要な書類を綴り合わせる様式の2種類があります。海外に在住している人は在外公館にて申請しなければなりません。もしくは日本へ一時帰国した際に、国内の公証役場にてサイン証明の発行も可能です。日本の住民票を持たない人が公証役場で取得する場合は、事前に予約を行う必要があります。 


単独の様式は日本の印鑑証明書と同様に1枚の用紙として独立している文書です。本人の署名であることを現地の領事によって証明されたという内容が記載されています。一方で綴り合わせの様式は本人が在外公館へ持参し、領事の面前で署名と割印を押す作業が必要です。ただし、国や地域によっては様式が異なる場合があるため、在外公館で発行されたサイン証明であっても効力を持たない可能性があります。事前に手続きで必要な書類の確認はしておくといいでしょう。 


まとめ


国際的な経済活動に欠かせないサイン証明は、海外企業との契約や証明書の交付において提出が求められます。また、日本国内であれば商工会議所や公証役場でも取得できます。日本に住民票を持たない海外在住の人は在外公館で申請手続きが必要です。サイン証明は海外の金融機関や不動産取引において日本の印鑑証明書の代わりとして役に立つため、必要な枚数分を取得しておきましょう。