請求・決済

企業間・法人間決済とは? 基礎知識から効率化の方法について解説

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目次

企業が商品・サービスの授受を行った際、代金の請求と決済を行います。大企業ともなるとそのやり取りの量は膨大になります。この記事では、企業間決済の基本的な知識と、その効率化の方法について解説します。

企業間決済とは?

企業間決済、または法人間決済とは、企業間で契約・発注したモノやサービス(企業間取引)に対して対価を支払うことです。
たとえば、自動車メーカーA社が、座席シートの部品を発注したB社に対し、対価として代金を支払う場合が考えられます。
特徴は、取引相手が「消費者(BtoC)」ではなく「企業(BtoB)」である点です。たとえばコンビニエンスストアや飲食店は、サービスを提供する相手が消費者となるため、企業間取引にはあたりません。

企業間決済の種類

企業間決済には、おもに下記3種類の支払い方式があります。

  • 請求書払い
  • 口座振替
  • クレジットカード払い

それぞれのメリット・デメリットを、請求する側と支払う側の視点からみていきます。

請求書払い
まずは「請求書払い」です。下の表をご覧ください。

請求書払い

支払う側

請求する側

特徴

ある期日に複数の取引をまとめて決済する

メリット

振込の手間が少なくて済む

請求書の発行が少なくて済む

デメリット

  • 業務が煩雑になる
  • 支払いを忘れると信用を一気に失う

 

  • 業務が煩雑になる
  • 取引から入金までのタイムラグがあり収入が安定しづらい
  • 未回収のリスクがある

株式会社ネットプロテクションズの調査によると、企業間取引で最も利用されているのは現金・請求書払いで、その割合は89.0%でした。 (参考:【ネットプロテクションズ:企業間決済に関する実態調査】企業間決済において最も使用頻度が高いのは「現金・請求書払い」の約90%!|NP掛け払い )
請求書払いでは、個別の取引ごとに請求や支払いが必要ありません。そのため都度払いに比べると、書類のやりとりは大幅に削減されています。
しかし、依然として業務量は非常に多く、請求書受取・支払業務は経理担当にとって負荷の多い業務です。業務内容のほとんどを手入力に頼っており、膨大な時間と手間がかかっているのが理由のひとつです。

口座振替
口座振替の特徴をまとめた表は、下記のとおりです。

口座振替

支払う側

請求する側

特徴

定額の決済に向いている

メリット

  • 自動で決済が完了する
  • 払い忘れの心配がない
  • 入金日に確実に回収できる
  • 請求書の作成業務を削減できる

デメリット

  • 継続的かつ内容が同じ取引に限定される
  • 明細書をすぐに取得できない

口座振替は、家賃の引き落としをイメージするとわかりやすいでしょう。毎月一定額の取引と決まっている場合に、効果的な決済方法といえます。
口座振替のデメリットは、毎月支払額を変更するのでは余計に手間がかかるため決済が継続的かつ内容が同じ取引に限定される点です。請求書払いの補助としての役割を担うケースもあります。

クレジットカード払い
企業間取引において、クレジットカード払いはどのような特徴があるのでしょうか。

クレジットカード払い

支払う側

請求する側

特徴

取引額が少ない、または取引回数が多い決済に向いている

メリット

  • 24時間決済ができる
  • 書類業務を削減できる
  • 手数料がかからない
  • 請求書の作成業務を削減できる
  • セキュリティを向上できる

デメリット

カードの利用額に上限がある

  • 対応できる取引先が限られる
  • 手数料の負担がある

クレジットカード払いは、ほかの決済方法に比べて額が小さく、回数が多い取引を済ませるのに効果的です。法人カードを導入すれば、社員が利用した金額を会社の口座から引き落とす設定もできます。
ただし、企業間決済においてクレジットカード決済はそこまで広く普及しておらず、対応可能な取引先が限られるのもデメリットといえます。
このように、3つの決済方法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。とくに、最も利用されている請求書払いでは、多くの業務フローをマンパワーで解決しており、経理担当には大きな負担がかかっています。

企業間・法人間決済の効率化の方法

ここからは、企業間決済を効率化するための方法について解説します。具体的な効率化の方法は、下記の3つです。

  • 代行業者へ依頼する
  • 自社のシステムをカスタマイズする
  • クラウドサービスを導入する

それぞれ順番にみていきましょう。

決済代行業者へ依頼する

決済代行業者とは、請求する側と支払う側の間に入って、決済業務を代行する業者のことです。賃貸物件と不動産のオーナーの間を取り持つ、管理会社をイメージするとわかりやすいかもしれません。
たとえば、支払う側から集めた代金の一括入金や、期日までに支払いがない場合の催促を代行します。請求書発行業務をはじめとした煩雑な業務が簡略化できるのが、決済代行業者に依頼するメリットです。
一方で、企業間取引のみにサービスが限定される可能性があることがデメリットといえるでしょう。業務委託先の個人と取引するケースのように、すべての決済を代行できるわけではない点に注意が必要です。

自社のシステムをカスタマイズする

自社のシステムをカスタマイズして、効率的な仕組みを構築するのもひとつの方法です。これまで手作業だった処理を少しでも減らせるのであれば、経理担当の負担も軽減するでしょう。会社の存続のために長期的な目線でシステムを入れ替えるのは、企業間決済の効率化に止まらず、システムの老朽化が進む日本企業の課題ともいえます。
ただ、システム自体の改変や保守、運用は技術や費用の面で難易度が高くなります。これまで使っていたシステムが使えなくなると、取引先に迷惑をかけることにつながりかねません。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されるものの、思い切ったシステム改修に取り組めない企業が多いのも実情です。

クラウドサービスを導入する

クラウドサービスの導入は、支払う側と請求する側の双方に大きなメリットがあります。
たとえば、支払い側が受け取った請求書は、紙や電子データを問わず自動でシステムに登録されます。金融機関と連携することで、振込業務までも自動化できるため、経理担当の手入力は個人・法人に関わらずほとんど必要ありません。
さらに、請求する側は請求書の電子化により印刷や封入、郵送の工程が一切なくなります。データの一元管理はクラウド上で行われており、導入の難易度が低いのも特徴です。
サービス導入には費用がかかりますが、企業間決済にかかっていた時間と人件費を考慮すると、コスト削減にもつながるでしょう。
以上の3点を考慮すると、導入の難易度が低く業務効率化が容易な「クラウドサービスの導入」が、とくにおすすめです。

まとめ

企業間決済のうち、日本企業のおよそ9割がメインとして利用しているのが「請求書払い」です。しかし、請求書払いは業務が煩雑で経理に大きな負担がかかっていました。
近年、請求書の発行・受領を行えるクラウドサービスも開発されており、普及も進んでいます。この機会にぜひ導入をご検討ください。