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納品書を海外に送るにはどうすれば良い?Invoiceの種類から作成方法まで解説

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貿易等で海外の企業と取引を行う場合、納品書は英語で作成する必要があります。このような納品書を英語では「invoice(インボイス)」といいます。この記事では、「invoice」について、その種類や作成方法を解説します。

invoiceとは

invoiceとは、荷物の輸出入に必要な書類で、税関への申告に使用されます。税関で荷物をチェックする際、invoiceを見れば「だれが、いつ、どこで、なにを、どこから、どれくらい」送るのか一目でわかるようになっています。
invoiceの記入は、基本的に英語です。
なお、2023年10月1日から日本でスタートする「インボイス制度」を思いついた方もいるかもしれません。しかし、ここでいう「インボイス」とは「適格請求書」を指し、invoiceとの関係はありません。

invoiceの種類

ここからは、invoiceの種類について解説します。代表的なinvoiceの種類は、以下のとおりです。

  • 商業送り状(Commercial Invoice)
  • 公用送り状(Official Invoice)
  • カスタムズインボイス(Customs Invoice)
  • プロフォーマインボイス(proforma invoice)

それぞれ順番に解説します。

商業送り状(Commercial Invoice)

商業送り状は、正式なinvoiceです。荷物の申告に加えて代金の請求書としての役割も兼ねています。たんに「invoice」と呼ばれる場合は、商業送り状を指すのが一般的です。
記載されている項目には次の内容が含まれています。

  • 商品名
  • 価格
  • 価格の条件
  • 船舶予定 など

商業送り状をもとに輸入国側から輸出国側へ税金が支払われるため、商業送り状は重要な書類となります。
たとえば、日本からシンガポールに商品を輸入するケースをみてみましょう。輸入申告についての流れは下記のとおりです。

輸入申告

輸入はすべて事前申告となる。貨物がシンガポールに輸入される前にNTPを通じて輸入許可「In Permit」を取得し、輸入時点の為替レートで換算し、諸税をシンガポール税関に支払う。輸入許可は大きく分けて2種類あり、通関の際に一般関税・GSTなど諸税を支払う義務のある「In-Payment Permit」と小口貨物や引越し貨物の輸入、保税倉庫やライセンス倉庫への搬入、一時的輸入制度に基づく輸入など諸税の支払いを猶予された「In-Non-Payment Permit」に分類される。

コンテナ貨物を空輸・陸送で輸入する場合、または在来貨物や手持品を輸入する場合、輸入許可通知が届いた後、申告者は貨物通関許可証(Cargo Clearance Permit)をプリントアウトし、補足書類(商業送り状、包装明細書、船荷証券・航空貨物運送状など)とともに通関の際に提示する。

出典:輸出入手続|独立行政法人日本貿易振興機構

公用送り状(Official Invoice)

公用送り状は、輸入国側が輸入価格の不正を防止することを目的に、輸出側に提出を義務付けている書類です。船積み貨物のために作成される商業送り状とは区別されます。

カスタムズインボイス(Customs Invoice)

カスタムズインボイスは、税関向けに発行する書類です。特定の輸出先で必要になる場合があります。
以下の国では特定フォーマットがあり、輸入側からリクエストがあった場合は、輸出側が作成します。

  • イギリス
  • オーストラリア
  • カナダ
  • 南アフリカ
  • ニュージーランド

プロフォーマインボイス(proforma invoice)

プロフォーマインボイスとは、見積書の特性をもつインボイスです。商業送り状に対し、プロフォーマインボイスは仮のインボイスともいわれます。

invoiceの書き方

ここからは、invoiceの必要事項について解説します。invoiceにはどんな商品なのかわかるように、下記の項目を正確に記載する必要があります。

  • 差出人の氏名、住所、電話番号
  • 受取人の氏名、住所、電話番号
  • 作成年月日、作成地
  • 小包ラベルまたはEMSラベルの番号
  • 発送手段(※注意点を参照)
  • 該当する箇所にチェック
  • 内容品について(※注意点を参照)
  • 通貨(JPY、USDなど)
  • 内容品の外装の総個数、総重量、原産国名
  • 差出人様の署名
    引用:インボイスについて|日本郵政

なお、invoiceの記入時と提出時には、下記3つの注意点があります。

  • 発送手段は発送方法によって異なる
  • 内容品はできるかぎり具体的に記入しなければならない
  • パッキングリストとデリバリーノート

順番に解説します。

発送手段は発送方法によって異なる
日本郵政の場合、発送手段の項目は発送方法により書き方が異なります。詳細は以下の表をご覧ください。

発送手段

記入する内容

国際小包

Parcel Post

EMS(国際スピード郵便)

EMS

その他

International Mail

引用:インボイスについて|日本郵政 

内容品はできるかぎり具体的に記入しなければならない
内容品の記述はできるだけ詳しく正確に記入しましょう。具体的な記載事項は、以下のとおりです。

  • 具体的な品名
  • 正味重量数量
  • 単価
  • 品名ごとの総額
  • 合計額

たとえば品名は「生活用品」よりも「洗濯用洗剤」と記入した方が具体的です。記載内容に不備があった場合、原則は修正したinvoiceを再交付しなければなりません。また輸入側が追記や修正を行うのも原則禁じられています。後から手間がかからないよう、交付前の丁寧な確認が必要です。

パッキングリストとデリバリーノート
パッキングリストとは「梱包明細書」を指します。輸出する商品の梱包明細を記載した書類で、輸出側から輸入側へ渡します。invoiceと同様、海外に商品を発送する際は必要不可欠な書類です。
一方、デリバリーノートとは「納品書・受領書」の役割をもつ書類です。税関ではなく、取引先の個人や企業に対して受領業務を円滑にするため発行します。取引先にフォーマットがあれば、指示に従って発行する場合もあります。
invoiceのほかにパッキングリストとデリバリーノートを提出する可能性があることを、頭に入れておくと良いでしょう。

まとめ

invoiceは、荷物の輸出に必要な書類です。税関の荷物チェックや、税金の計算に使用されます。
invoiceを作成する際は、所定の要件を満たしているかしっかりと確認を行いましょう。

■参考サイト
Customs Invoice(カスタムズインボイス)とは・意味|JAIBO
国際貿易と英語基礎講座|厚生労働省