
請求書受取・支払管理を脱エクセル!請求書受取・支払管理システムについて解説

支払管理業務では、まずスタート地点となるのが取引相手の請求書の収集です。情報を収集したら、支払管理表に情報を記入します。管理表に記載した後は、順次、支払手続きを行い、完了した支払情報は管理表上で終了を記帳します。
これらの支払管理表を使った業務では、支払の情報を集中させることで効率的な管理が実現可能です。データを継続的に保持し、状態を変更しながら利用できるエクセルが利用されるケースが多くみられます。
支払管理業務の対象となるのは仕入れ先業者への支払、事務所賃料、顧問税理士への支払などあらゆる取引が対象です。さらには、請求書がない場合もあり得るため、その対応までを考慮する必要があります。
あらゆる企業活動において、仕入や業務の発注が存在するため、支払管理はどんな職場にいても避けることのできない仕事です。その一方で、正しく管理・対応ができていなければ企業の信頼に傷がついてしまうため、責任重大な職務でもあります。
しかしながら、支払管理の業務は煩雑なものです。支払日や支払方法は相手によってまちまちで、業務担当者は常に管理表を気にしている必要があります。また、エクセルを利用した支払管理にはリスクも潜んでいます。
本記事では支払管理の概要、エクセルでの支払管理と問題点、支払管理システムによる管理とメリットについて紹介します。
支払管理業務の具体的な内容とは?
スムーズでミスなく支払を管理するためには、支払管理業務についてルールと仕組みを定めておくことが必要です。下記の3つにより支払管理業務を定義しておきましょう。
- 企業内の支払に関するルール
- 管理表などの支払を管理する仕組み
- 支払に関する関係者の業務をフロー
以下では、具体的な内容について記載します。
支払管理をする際に定めておくルール
支払を管理する場合、まずはおおまかなルールを定めることが重要です。以下の点を定め、関連する担当者に周知しておきます。
・支払いをまとめる範囲(チーム、部署、事業所など)
・支払をまとめる表(エクセルでの管理の場合、ファイルと所在)
・支払の手順(表の記入は各自、請求書は支払管理者に提出する など)
・支払管理の担当者の決定
・支払における決裁者の決定(必要な場合)
・支払管理者は支払管理表をチェックし、期日前に支払を実施
・支払を行ったら支払管理表に完了を記載
支払管理表(支払予定表)
支払管理表は紙でも電子データでも実現可能ですが、利便性の面からPC上で行うことが望ましいでしょう。システムを導入していなければMicrosoft社のExcel(エクセル)という表計算ソフトで管理している企業が多いです。
一般的に支払管理表に必要となる項目には、下記があげられます。組織や業務上必要な場合には、適宜項目を追加します。
・取引相手
・支払予定日
・科目(摘要。会計上の勘定科目)
・支払方法
・支払先口座
・支払金額
・支払手数料
・支払の状態(未完了か、完了済みかのチェック)
また、取引形態により支払条件が存在する場合もあります。この場合は、条件も管理しておきましょう。
支払管理業務の業務フロー
定めたルールに沿って業務を実行するために、業務フロー(仕事の流れ)を定めておきます。「いつ、誰が、何をするか」をルールと対にして用意しておきましょう。支払業務に関連する各担当者分の業務フローが必要です。
業務フローの記述に関しては、文章での記載やフローチャートなどの手法があります。記載者と利用者が認識にずれがない資料にしましょう。
【支払が発生した業務担当者】
支払が発生した時点で、支払管理表に記載を行う
(または、請求書を受け取ったら支払管理者に提出する)
【支払管理者】
ルーチンとして支払管理表をチェックする。
未完了で実施可能な支払があれば支払を行う。
支払を行う際に必要があれば上司の決裁を仰ぐ。
【決裁権限を持つ上司】
支払に決裁が必要な場合は決裁を行う。
【経理担当者、予算管理者、監査担当】
定期的に支払内容のチェックを行う。
部署などの単位、月などの期間、支払先などでまとめての確認も随時実施する。
支払のエクセル管理の問題点
エクセルによる支払管理表を利用した管理は、関連するメンバーが正しく運用を行えれば支払業務を効率的かつ正確に実現することが可能です。しかしながら、企業にとってはリスクともいうべき問題が内包されていることには注意が必要です。
支払管理をエクセルで行った場合に発生しうる問題とは
エクセルによる管理では、電子的なデータとして管理表をどの様に保持するかが一つの課題となります。
一つの方法は支払管理者が一人でローカルPCに管理表を保存する方法です。この場合、管理表への記入のため管理者は常に管理表に張り付いていなければなりません。
また、管理表を共有ファイルとする方法もあります。この場合は関係者が都度記入を行います。しかし、記入のバッティングや重複などが発生しえます。
エクセルによる管理を行ったとしても、記入や更新は人間の作業によって実現されます。人による作業はどんなに注意しても下記のようなミスが起こり得るものです。
・支払に必要な情報の入力漏れ
・間違って他のデータを消してしまう
・入力の重複
・支払期限の確認漏れ
・重要ファイルの誤削除
・支払作業(振り込みなど)そのものの間違い
エクセルファイルは独自にカスタマイズすることが可能で、利便性を高めることができます。しかし、メンテナンスは作成者しかできない場合もあり、業務の属人化発生にもつながってしまいます。
情報セキュリティ面でのエクセル管理の課題
支払の一覧が入力されたファイルは企業にとって機密性の高い重要な情報です。仕入価格などビジネス上重要性の高い内容も記載されるため、外部に漏れてはなりません。もし、悪意あるユーザーにより支払管理表が外部に持ち出された場合には情報漏えい事故となってしまいます。
政府による情報関連事業を受託している独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査報告「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」によると、営業情報の漏えいルートに占める「中途退職者による漏えい」は36.3%にのぼりました。「現職従業員による金銭目的等の具体的な目的を持った漏えい」の7.6%とあわせて、全体の40%以上が内部犯行によるものです。
エクセルで支払情報を管理した場合、情報を集めて扱っているだけに、ファイルの持ち出しによって簡単に情報漏えいが発生しえます。同じ組織に所属するメンバーを疑いたくはないですが、仕組みとして簡単に支払の情報が持ち出しできないように対処はしておきたいところです。
支払管理システムとは?
エクセルによる支払管理の問題の回避策として、「支払管理システム」を導入・活用する方法があります。支払管理システムでは、エクセルでの支払管理の利便性を保持または向上させることができるうえ、発生する問題の多くを解決することが可能です。
支払管理システムの特徴
支払管理システムではネットワーク上(クラウド)に支払に関する情報と状況を一元管理する仕組みです。特徴として、下記の点があげられます。
・支払に関する情報をまとめて一元管理できる
・ブラウザやアプリからネットワーク上で支払情報の登録、更新を行う
・複数人で同時に支払の情報を記入、参照することができる
支払管理システムのメリット
支払管理システムを導入して管理を行った場合と、エクセルで管理した場合を比較すると下記のメリットが存在しています。
1.オンラインでの支払完結
銀行のシステム等と連携することで、オンラインで支払を完結することが可能です。支払い手続きの人的要因による誤りを排除することができます。
2.リモートワークの促進
ネットワーク接続環境があれば、様々な場所や端末で利用可能です。支払管理者のPCや社内ネットワークなどの制約を受ける必要がなくなります。
3.支払業務の自動化
賃料など継続的に発生する支払は記入を自動化することができます。人間の作業による漏れも防止します。
4.支払漏れの防止
支払の締め切り日や支払期限の管理もシステムにより自動化可能です。「予定の日に未完了の支払があればアラートでお知らせ」するなど柔軟な管理を実現します。
5.誤入力の防止
支払管理表への記入もシステム化することで入力補助やチェックが可能です。誤入力、誤った情報の削除、情報の重複などをシステム側で検知します。
6.セキュリティの強化
情報へのアクセス権限を正しく設定することにより、必要な利用者のみが情報を参照できるように制限可能です。不正なデータの持ち出しなどによる情報漏えいの防止、被害の縮小に役立ちます。
7.外部システムとの連携
会計システムやその他の基幹システムなど支払情報が必要となる外部システムとの連携も自動化できます。
支払管理システムの導入によるメリットは、支払管理業務の作業効率化・自動化、人間の手による作業ミスの削減、情報漏えいなどのセキュリティ事故への対策とまとめられます。
支払管理をシステム化することは、バックオフィス業務のDX推進においても取り掛かりの第一歩といえるでしょう。
まとめ
支払とその管理にはエクセルが利用されていることが多々ありますが、そこには問題が存在します。誤記や支払期限の超過などの人間の作業ミス、情報セキュリティ上のもろさなどは大きなリスクです。
