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請求書のことちゃんと理解してる?基礎知識から効率的な作成方法まで解説

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目次

請求書の基礎知識

まずは請求書の基礎知識を整理しておきます。請求書の定義はもちろんのこと、作成する意義や作成のルールについても紹介します。

請求書の定義

請求書とは「クライアントとの取引に対する代金を、請求することを記した書面」です。ビジネスの場面では、サービスの依頼者に対してサービスを提供した事業者が発行し、期日までに記載の金額を支払うことを求めるため請求書を発行します。

ちなみに法律の観点では、請求書の発行は事業者に対して義務づけられていません。そのため、仮に請求書を発行しない場合にも罰則はなく、法的な責任を負うこともないのが実情です。しかし、法律で定められないにも関わらず、多くの事業者が発行しているのには理由があります。この機会に発行する意義を含めて把握しておくと良いでしょう。

請求書を作成する意義

法律で義務づけられていないのに、なぜほとんどの事業者が請求書発行を行なうのでしょうか?請求書を作成する意義は幅広く存在しますが、「取引実績の証明をする」目的がその一つです。どのようなサービスや商品を、いつだれに提供し、いくら請求するのかを双方で明確にする意味あいが、請求書には込められています。

また、「提供したサービスや商品の代金に対して、支払いを受ける証明」も請求書がもつ意義のひとつ。一方でサービス提供を受けた側は、請求書を受領したことが経理上の支出の証明にもなるなど、税務調査時にも必要となる場合があります。これらの理由から、請求書を発行することが暗黙のルールとなっています。

請求書のルール

法律で請求書の発行が義務づけられていないこともあり、定められたフォーマットやルールは特に設けられていません。しかし、ルールはありませんが請求書発行の意義である「証明」ができるよう、入力すべき項目はあります。請求書作成の具体的な方法については、次の章で整理していきます。

請求書の作成方法

請求書の一般的な作成方法を整理していきます。先程お伝えした通り、法的なルールはありません。そのため、書面を提示する先方にとっても不都合のない内容で、わかりやすく作成することが非常に大切です。

請求書に記載する内容を知る

請求書に書いておいた方がいい内容としては、国税庁のホームページに記載されている5つの項目を参考にするとよいでしょう。また、下記にまとめた<必要があれば記入する内容>については、取引上必要になることが多い項目です。特にルールはないので、必要に応じて記載する項目を選択し作成します。

<国税庁HPより>

・書類作成者の氏名または名称
自社の企業名を記載します。企業名の後に担当者名を記載しておけば、先方の経理担当者からの問い合わせがあった場合も安心です。必要に応じて記入しておくと良いでしょう。

・取引年月日
取引が行なわれた日付を記載します。多くのフォーマットは請求項目に日付を入れられますので、取引ごとに分けて記入し、それぞれに取引日をいれておきます。

・取引内容
取引の項目には、サービス名や商品名などの固有名詞を入れておくと照合しやすくなります。経理担当者の業務負担が減るようであれば、可能な限り書き入れておきます。

・税込みの取引金額
取引金額を税込みで記入します。フォーマットによっては単価と税額がわかれているものもありますが、合計金額が税込みとなっていれば問題はありません。

・書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
請求書の送付先である、サービスを受けた側の名称を記載しておきます。

<必要があれば記入する内容>

・発行日
おおむね一般的には、請求書に発行日をいれることが多いです。経理上調査が必要な際や、送付確認を双方で行う場合に重宝するので、記入しておくことをおすすめします。 

・振込先
長期的な取引であれば不要な場合もありますが、基本的には振込先口座の記載をしておく必要があります。先方が経理上の扱いで困った際の問い合わせ先なども書き入れておくと良いでしょう。

・請求書ナンバー
請求書の頭に通し番号をふっておく場合もあります。自社または先方の書類管理上必要である場合も書き入れておくようにします。

・支払い期限
請求書に記載した金額の支払期限については、記入しておいた方が良い項目です。万が一支払いが遅いと感じた場合も、目安が無ければ催促もできません。お互いの目安としても記入しておくのが一般的となっています。

請求書のフォーマットを用意する

請求書のフォーマットについても、特に規定の様式はありません。そのため、エクセルなどで作成した自社の請求書フォーマットを使用することも可能です。WEB上で提供されている無料のフォーマットを利用しても良いでしょう。

請求書の捺印は先方のルールに従う

請求書への捺印も、実は決まりはありません。多くの企業は自社で発行したことを示すため、書面には社判を捺印しています。請求書の送付先のルールで社判の捺印を求められた場合は、先方の意向に沿った形式で捺印しておきましょう。

請求書発行の注意点と効率的な方法

請求書の作成方法を理解したところで、発行に際して注意したい点を確認しておきます。また、作成に手間の掛かる請求書の、効率的な作成方法もご紹介しますので、ぜひご参考ください。

請求書発行時の注意点

請求書発行時の代表的な注意点は下記の5つです。

・先方の請求書ルールを確認しておく
自社で発行した請求書は、先方の経理処理にも活用されます。先方が受領する際のルールに従って請求書を発行すると関係性の向上にも繋がりますので、理解しておくと良いでしょう。

・PDFなどに変換してデータでも保存しておく
発行した請求書はデータで保管しておくと、管理もしやすく非常に便利です。

・振込みに際しての手数料負担を確認しておく
銀行口座などへ振込みを依頼する場合の手数料負担については、事前に先方へ確認しておく方が良いと言えます。数百円ですが勝手に先方の負担としては心証が悪いものです。一言事前に申し入れておきましょう。

・備考欄などに申し送りした文言の確認をする
備考欄などに注釈や特記事項を記入した場合は、間違いのない内容であるかの確認をしておく必要があります。

・宛名や金額、振込先に誤りが無いようダブルチェックをする

請求書で最も大切な要点に誤りがないか、できればダブルチェックを実施します。宛名・金額・振込み先はどれが間違ってもいけません。発行時には誤りがないか、厳重にチェックしましょう。

請求書の効率的な作成方法

ルールがないとはいえ、作成に手間が掛かるのが請求書です。ここではその煩わしい請求書作成を助ける、効率的な作成方法をご紹介していきます。

①ひな型を運用する

取引先や取引の種類に応じたひな形を事前に作成し、運用することで発行までを簡単にすることができます。ひな形はエクセルなどで作成が可能ですが、計算式などが間違っていないか作成後も都度確認が必要です。取り急ぎの対策としては、手軽に行える方法と言えるでしょう。

②請求書作成が可能な業務支援システムを活用

近年、業務におけるペーパーレス化が加速したことで、経理などの事務業務をサポートするシステムを導入をする企業が増えています。さまざまな業務支援システムがありますが、電子請求書の作成・送付から管理・保存までを一括管理できるサービスも提供されており、作成の負担を大きく軽減できます。業務支援システムの活用で、請求書の作成を非常に効率的に行なうことが可能です。

改正電帳法により書類のデジタル管理が義務づけられていることもあり、法改正にも対応しているサービスを中心に、業務DXをサポートする業務支援サービスの需要は非常に高くなっています。

まとめ

日々目にすることの多い請求書の基本的な知識について、ご理解いただけたでしょうか。ペーパーレス化が進む中で、請求書においてもデジタル請求書の発行が求められる時代がくることが予想されます。先方の経理処理も想像しながら、わかりやすい書式と時代に即した形式で作成することを心掛けることが大切だといえるでしょう。