
インボイス制度の仕入税額控除の適用要件とは

仕入税額控除とは
消費者は事業者を通じて取引をする商品やサービスに対し、消費税というかたちで税金を負担します。一方、当該商品やサービスが消費者の元に届くまでにも取引が行われており、ここでも消費税が発生しています。
この消費税における「仕入税額控除」は、生産や流通の段階で支払いが行われるたびに発生する消費税の累積(二重課税)を解消することを目的とする制度です。
仕入税額控除を適用しないと①収入に含まれる消費税を全額納付しなければいけません。この状態を二重課税といい、お店は①収入に含まれる消費税と②経費等に含まれる消費税の両方を納付することになります。
仕入税額控除の対象となるのは課税仕入の取引であり、非課税の取引や給与支払い(加工賃や人材派遣料、警備や清掃などを外部に委託している場合の委託料などは課税仕入)などは対象外になります。主な課税仕入の対象取引は以下になります。
1.商品などの棚卸資産の購入
2.原材料等の購入
3.機械や建物等のほか、車両や器具備品等の事業用資産の購入または賃借
4.広告宣伝費、厚生費、接待交際費、通信費、水道光熱費などの支払
5.事務用品、消耗品、新聞図書などの購入
6.修繕費
7.外注費
ここまでのお話は、インボイス制度を理解する上での重要な前提知識として必須となります。
仕入税額控除の適用要件の変化
インボイス制度の施行によって、仕入税額控除の適用を受けるためには一定の事項を記載した帳簿及びインボイス(適格請求書)の保存が必要になります。現行の区分記載請求書の記載要件に、以下の赤字が追加で記載必須になります。
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額
(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
登録番号は、「T+13桁の法人番号」あるいは「T+13桁の数字」となります。また、⑤の税率ごとに区分した消費税額等について、端数処理は税率ごとに都度行い、切上げ・切捨て・四捨五入どの方法で計算してもよいとされています。
また、インボイス制度施行に伴い、現行制度の以下2点が廃止されます。
- 「3万円未満の仕入」「請求書の交付を受けなかったやむを得ない理由があるとき」一定事項を記入した帳簿保存のみで仕入税額控除適用
- 請求書の不備(軽減税率対象・税率毎に区分し合計した税込対価額)、買い手が事実に基づき追記
インボイス制度への対応方法
インボイス制度へしっかりと対応し、仕入税額控除を受けるには、適切なインボイスの保管が必要になり、そのためにはそもそも電子帳簿保存法に対応することや、ヒューマンエラーの防止策としてシステムの導入を検討する必要があります。
システムの導入あたっては、インボイス制度開始に伴う各種要件の充足はもちろん以下の点で柔軟に対応することが必要です。
- インボイスの電子保存・管理によるヒューマンエラーの解消
- 購買業務の一気通貫により煩雑になる経理業務の一元化
- 取引先の登録番号チェック
上記にプラスして、以下の付加価値をがあることが望ましいです。
- 書類管理業務のDX化
- コンプライアンスチェックによるガバナンス強化
- 見積の選定経緯や発注・納品における事実確認
- 国税関係書類の多くをカバーした電子帳簿保存法への対応
ぜひ一度システムの導入をご検討ください。