
BSM(Business Spend Management)の取り組み

1.「BSM」の活用
売上の最適化を目指す「CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)」と同様に、支出に特化した「BSM(Business Spend Management)」についても近年大変注目を集めています。業績悪化や収益減少に直面する多くの企業にとって、無駄な支出を省き、迅速に経営を立て直すことは喫緊の課題となっているためです。
「BSM」は、企業の支出を管理・適正化する一連のプロセスを意味し、特に間接材(主に一般販売管理費に含まれる勘定科目)で、すでに欧米をはじめとした多くのグローバル企業が積極的なBSMの活用によって結果を出しています。
2.支出の分析
企業が経営資源を最大限に活用するためには、支出を透明にし、正確に状況を把握することが非常に重要です。これはすべての組織にとって最優先の課題です。支出データを詳細かつ正確に把握することによって、コスト削減につなげることができます。
購買担当者の経験や勘といった属人性にとらわれず、部署ごと、費目ごとの支出状況を誰がいつ見てもデータで確認できる状況にすることは、コスト削減の最初の一歩です。
3.サプライヤーマネジメント
調達プロセスにおいて外部の利害関係者(サプライヤー、ベンダー、外部パートナーなど)との関係を管理する必要があります。その主な目的は、最適なコスト、品質、納期、およびサービスを提供するサプライヤーを選択・評価・管理し、長期的な相互利益に基づく関係を構築することです。サプライヤーマネジメントの重要な要素には、次のようなものがあります。
・サプライヤーの選定方法と評価基準の策定
・契約交渉と契約管理
・サプライヤーとのコミュニケーション
・サプライヤーのパフォーマンス評価とフィードバック
・リスク管理
支出削減に関して、重要なポイントは複数のサプライヤーから相見積りを取り、適正な価格交渉を行うことです。この方法によって、過去に支払い過ぎていた支出に気づくことができ、その積み重ねが大きなコスト削減につながります。 この時ぜひ並行して取り組んでいただきたいのが、同業他社との比較です。他社と自社を比べ、費目ごとの使用量や単価の違いを見ることによって、コスト削減余地や適正な市場価格を把握することができます。特に慣習で購買を続けていて、定期的に見直す機会を設けられていない企業は、この機会にぜひ取り組んでいただきたいと思います。
4.ユーザマネジメント
ユーザマネジメントは、調達プロセスにおける関係者との合意形成です。ユーザマネジメントの主な目的は、組織内で調達の需要と供給を最適に統合し、資源を効果的に利用するために、コミュニケーション、協力、および調整を促進することです。ユーザマネジメントのいくつかの関連する側面には、次のようなものがあります。
・需要予測と需要管理
・調達要件の定義と合意
・サービスレベルの管理
・品質、納期の管理
社内で無駄に使いすぎているコストがないかを今一度確認し、必要な分だけ調達するよう内部で働きかけたりします。
5.「間接材」支出の重要性
一般的に、企業のコストは大きく2種類に分けられます。①商品を製造する際の原材料や部品、工場での製造コストといった、売上や利益に直結する「直接材」と、②光熱費や通信費、広告宣伝費など直接材以外のコスト全般を指す「間接材」です。企業にとって大きな支出となる直接材や設備投資費、研究開発費、人件費は、企業が主体的に予算を組み立てる費用ですから、コストの見える化や、投資対効果の評価体制ができている企業が多いように思います。
一方で、事務用品費や設備管理費、通信費などの間接材に関しては、「コストの見える化」すらできていない企業がほとんどです。その背景には、①間接材調達を専門で扱う部署がなく、個人や部署ごとで調達を行ったり、調達担当者の経験や直感的な判断に頼って購買することが多いこと、②間接材費目が多種多様で細分化されていること、③同じ企業内でも事業部やエリア、また子会社・関連会社ごとに発注・請求が統一されていないことなどが考えられます。経理データ処理段階で勘定科目名とその支払金額を管理している企業は多いと思いますが、「どのような仕様/条件で」「単価がいくらのものを」「どれだけ購入したのか(量)」を詳細かつ一元的に管理し、すぐにデータで出力できる企業は、残念ながらほとんどありません。実際に、多くの企業の財務責任者が、間接材費目への支出状況を正確に把握できていないことを課題として挙げています。
しかしながら、実は平均して企業売上の 6%から8%ほどを間接材コストが占めており、売上が一兆円の企業であれば、間接材コストは600億円から800億円にも上ります。そのため、これまで払いすぎていた間接材の支出を必要な項目に絞り込むことができれば、大幅な収益率改善を見込める可能性が極めて高いのです。
6.最後に
BSMはいわば企業の健康状況を逐一見守るリアルタイム健康診断システムであり、企業の健全な成長に欠かせない存在です。BSMを導入し、見える化した支出データを活用して戦略的に投資できている企業は非常に競争力が高まっています。まだまだ日本では新しい概念であるBSM(Business Spend Management)ですが、早いタイミングで取り組むことが企業経営にとって重要な戦略になると考えます。
【intra-mart Procurement Cloudとは】
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見積機能
煩雑なメールや電話による見積業務をクラウド上で一元管理が可能。見積仕様書の雛形や、サプライヤーリストを構築し、業務の効率化が可能です。
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契約書作成、リーガルチェック、契約書締結をクラウド上でやり取りが可能です。締結後の契約書の保管・管理機能も充実しております。
購買機能
各現場が様々な方法で行っていた受発注業務をクラウド上で集約・一元管理が可能です。発注申請のワークフローにより、内部統制の強化ができ、購入の内容や量のコントロールもできます。
オリジナルカタログ機能
一定以上の購買ボリュームあり定期的に購入する商品のカタログサイトを作成することが簡単にでき、低価格で効率的に購入が可能です。
請求・決済機能
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電子帳簿保存法に対応
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